株式会社大木家
パチンコ・スロットのアミューズメント事業をはじめ、レストラン・介護・不動産など多彩な事業を展開するオーギヤグループ。暮らしに欠かせない大切な時間として娯楽時間を提供し、地域のお客様に「豊かさ」や「楽しさ」を提供しています。時代の変化に沿って事業領域も拡大し、創業77年を超えてもなお新しいチャレンジを続けています。EDGEはその変革の一環として社内制度、昇格基準の大幅なリニューアル、採用や教育制度、マネジメントの改善支援を行ってまいりました。5年間にわたる関わりのなかでの変化や成果を代表取締役社長 大木伸浩様(写真左)、アドバイザー川合亨知様(写真右)に伺いました。
佐原:まずEDGEが関わる前の状況や課題についてお聞かせください。
大木:ご相談した当初、当社でちょうど役職者になった比較的若い有望な社員の退職が増加していました。時代の流れや外部環境の変化ももちろんあったと思いますが、やはり社内にも改善点があると思い、何かしら手を打たねばと思っていたところで佐原代表とお会いしました。
佐原:ご提案に際して、ベテラン店長の皆様にヒアリングをさせていただいたと記憶しています。
大木:ヒアリングをお願いし、その後まとめていただいた提案を拝見して、現場の状況や根本課題と思しき事象に対しての仮説立て、課題に対する解決方法が論理的かつ適切な筋立てでした。だからこそ当時、信頼してお任せしようと思いました。
佐原:弊社以外にも選択肢があったと思いますが、何が決め手となったのでしょうか?
大木:一般的に組織や人事に関することを外部にお願いするとなった場合、その会社が得意としている領域に対して、「型」にはめた提案をしてくる会社がほとんどです。以前、同様の提案を受けた際も現場のヒアリングまでしていただき、当社ならではの課題まで整理していただいたにも関わらず、解決策の提案がありものの提案だったこともあり、お願いするなら自社の課題に沿った提案をしてくれる会社とお付き合いをしたいと思いました。
佐原:この業界の「あるある」だと思います。
大木:その点でEDGEさんの提案は我々の課題や理想を丁寧に把握して理解し、当社からの指摘や問いにあった提案をしてくれた。佐原代表もお若いにも関わらず、様々なご経験や知識があるというのも決め手になりました。印象として組織や人事に関する課題解決策の「引き出し」をたくさんお持ちだと感心したのを覚えています。
川合:ご提案いただいた当初の印象は社長の大木と全く同じでした。違和感がなく、提案内容が自然に入ってきた記憶があります。
佐原:実際にスタートしてみていかがでしたでしょうか。当初は経験豊富なベテラン店長にもご協力いただき、役職者に全社的な視点をもってもらうことと、会社が期待し、評価するポイントを言語化していくということからスタートしたかと思います。
川合:これまでは評価制度にしても、「会社からこう言われたから。」という一方通行感がありました。会社が何を思っているのか?何を期待しているのか?ということが、はっきりしなかった。自分たちが何を思ってやっているのかを言語化して、ベテラン店長や本社で現場を統括する役職者を巻き込んで言語化していった。これはこれまでと全く違うやり方で、何をすれば評価されるのか、昇格できるのか、ということが明文化できて、それが社内に開示されました。いままでは現場の管理職が自分なりの解釈で伝えていたので、人によって伝えるニュアンスが異なり、現場の社員の捉え方もバラバラでした。ある現場では、会社の意図とは正反対の理解をしている人もいた。結果的に、やっても評価されないし報われないというネガティブ思考になる人や、好き嫌いで判断されていると思い込んでいる人もいました。評価制度と昇格基準を明文化し、キャリアアップのためのステップを全社共通のメッセージとして伝えたことでそれが打破されたと思います。
大木:役職者と店舗の状況を確認する会議でも、以前と比較して前向きな発言が増えたと感じます。
川合:各々が前向きに仕事に取り組み、それぞれの職位ごとに何をやるべきなのか、何を期待されているのかがはっきりした。それによって以前にも増して一体感が醸成されるようになりました。店舗の戦略に関する議論も噛み合うようになり、議論のレベルが数段上がったと思います。
大木:会議において不備や不足を指摘することが減り、より高いレベルでの議論ができるようになったのは大きな変化ですね。
佐原:この変化の過程では、役職者の退職などもありました。正直、良いことばかりではなく痛みもあったかと思いますが、その点についてはどのように捉えていらっしゃいますでしょうか?
川合:人が辞めていくことはもちろん残念なことです。一方で体制や上に立つ人が変わったことで、解決した課題もある。やるべきことを言語化した結果、それに合わない、ついていけないという結論になったケースも実際にあったと思います。基準を明確にしたからこそ、会社から離れたという認識です。
大木:端的に言うと、昭和スタイルのマネジメントをやってきて、それをやり続けたいという人には合わない会社になったと思います。基準を統一して明確にし、それに沿って運用していくことで、成果を出した人、頑張った人が公平に評価される制度と運用になっている。そこに個人的な好き嫌いや上役の機嫌は持ち込めない。あくまで会社が求める成果や行動をとった社員が評価され、昇進していくという形です。
川合:確かにこれまでのように「なんとなく凄い」といった経験から来る言語化されない凄みで権威づけをすることが難しくなり、むしろ言語化して人を育てられる、引き上げられる管理職が優秀だという基準に変わりましたね。
佐原:変化に対する痛みもあったかと思いますが、痛みと比較して改善による良い効果は実感されていますでしょうか?
川合:まず様々なことがオープンに話せるようになりました。基準が明確になった効果だと思います。議論ができるので、改善のスピードも上がり、多様な視点から適切な判断を下せる。このメリットは非常に大きいと思います。そして、以前はなんとなく空気感としてあった「多くの時間を費やしているから、頑張っている」という印象での評価ではなく、定められた仕事を工夫して行い、成果を出しているかどうかで評価されるようになった。これは昨今の働き方改革の流れや長時間労働是正の流れとも合致しています。
大木:新しい制度が運用開始され、管理職が部下と向き合う時間を取らなければならなくなりました。EDGEさんにお願いしてヒアリングしてもらった評価制度運用開始後のインタビュー調査でも、その点に言及する管理職は一定いたかと思います。これは悪い言い方をすれば、負荷が上がったのだろうと思いますが、部下との対話時間と機会が増えたことは、会社としてはとても良いことだと思っています。
川合:丁寧に評価制度を運用しようと思うと手間はかかりますよね。昇給や昇格も印象や好き嫌いではなく、明確な基準を示して説明できるようになったので、それによる不公平感は無くなったと思います。もちろん今後メンテナンスすべき点は出てくると思いますが、いまの方向性は間違いなく継続すべきだと思います。
大木:私が新卒で入った大企業から大木家に入社した当時、上司の一存で評価や昇格を決めており、それに違和感を感じていました。今回、EDGEさんに依頼して作った評価制度の前にも、2回ほど評価表を作って運用しましたが、抽象度が高かった。今回の制度改定では昇格基準や業務の基準なども明示したため、この取り組みを通じて当初感じていた違和感が大幅に改善されたと思います。
川合:基準が明確なため、評価について部下から疑問を呈された時もなぜその評価になるのか?改善するために何が足りていないのか?昇格するために何が必要なのか?をはっきり言うことができるようになりましたよね。
佐原:評価制度と昇格基準の改定に続いて、各部署の協力を得て採用や教育についてもより良いものにブラッシュアップしていったかと思います。
大木:これまで採用や教育については、自社独自で、ある意味「我流」でやってきました。今回、外部の専門性のある企業としてEDGEさんが入ったことで、各部門の担当にも刺激があったと思います。採用も新たな手法を取り入れることができ、教育も新たに作った評価制度や昇格基準を踏まえ、それに合致した形に進化していると思います。
川合:採用、教育だけでなくES調査も改善され、より明確に現場の課題にメスが入れられるようになりました。評価制度の運用状況調査やES調査を通じて、いかに忖度や本音で回答できない要因を潰すか?という視点も入り、精度高く現状把握できるようになったと感じています。
佐原:改めて5年にもわたる長期間でのコンサルティングでしたが、振り返ってみていかがでしょうか?
大木:まず、入ってもらって良かったと思います。抽象的な指導や精神論だと、いずれ忘れ去られてしまうと思いますが、論拠を元に制度や教育体系に変更を加えているので、元に戻らない不可逆な変化が起こっていると思います。
川合:一過性のものではなく、制度全体を変え、考え方を進化させていくという流れで対応してもらえたため、根本的な考え方や会社の根幹の制度が、入ってもらう前と比較して大きく変わっています。このような関わり方をしてもらったことで効果は永続的に続くものだと捉えています。
大木:今回のコンサルティングに入ってもらうにあたり、社内の各部署にいる多くの担当者にも関わってもらいました。評価制度づくりや新たな採用手法へのチャレンジ、教育制度改革を担当した各社員は、以前と比べて自ら考えて新しいことを取り入れようと提案してくれたり、課題に対して積極的に関与して、イニシアティブをとってくれるようになりました。これらの本社各部門の社員の成長も大きな成果だったと思います。
佐原:ありがとうございます。直近では関わった当初に作った制度のメンテナンスや運用状況の調査なども対応させていただきました。こういったことも運用を定着させる上では重要な要素だったと思っています。
大木:例えば、評価制度の運用に関する振り返りインタビューを通じて、定着していない部分や課題が表出したことも大きかったですね。制度を作っていきなり完璧な状態で運用されることはないと当初から言われていましたが、改善すべきポイントが見えたことも価値が高かったと思います。
川合:長く関わっていただいたので、例えば制度の作り方や運用を定着させる手法、見直しや振り返りの方法などを学べました。課題に対して、どのような考え方をすべきかを学べたのが大きかった。現状に対して良し悪しが明確になり、改善すべきことの優先順位をつけて考えられました。想定した成果が出た部分は良しとして、仮に成果がイマイチだったところに対しても、次にどんなアクションを取るべきかを考えることができました。いま業界を取り巻く環境が大きく変わっています。少しでも気を抜くと組織が崩れてしまう時代になった。だからこそ、このタイミングで組織にきちんと向き合ったことは価値があったと思います。当時の選択肢として「臭いものに蓋をする」ということもできたと思いますが、組織の方向性を明確にし、それに沿った動きをしてくれる人を評価する仕組みができたことで、より良い組織に進化していると思います。仮にこの取り組みが1年、2年遅れていたら、どうなっていたんだろうか?と思いますね。組織文化は簡単には作れませんし、変えられません。このタイミングでしっかりと腰を据えて真摯に組織の課題に向き合えたことは、未来にわたって大きな財産になると思っています。
佐原:最後にEDGEのコンサルティングを受けようか迷っている方へのメッセージをお願いします。
川合:EDGEさんは、この数年を一緒に歩んでくれました。会社の変革にあたっては、自身の身を切る覚悟、自身が変化する覚悟が必要になります。特定のどこかに変化を強いるのではなく、状況やバランスを見ながら、優先順位を示して徐々に全体が変化していくように促してくれる存在がEDGEさんでした。理想に近づけるために一緒に目標を立て、それを共に目指して伴走してくれました。失礼な話ですが、関わり方が良くなければ1年で契約は終わっていたと思います。うわべだけでなく本質に根差した提案をし、共に大きな変化を成し遂げることができたと思います。
大木:変革を社員に要求するには、先陣をきって経営者自身の変革が求められます。自分は変わらずに、社員にだけ変化を要求することは虫のいい話であり、そんなことは不可能です。EDGEさんはバランスを見て、その時の状態を見極めながら経営者にとって耳の痛い話もしてくれる。物言いは丁寧ですが、結構厳しい内容の指摘も幾度となくされました。そういった点では非常に頼りになりましたし、経営者自身が変革していくためのサポートをしっかりとやってくれます。経営者自身が自己変革をする覚悟を持って依頼するのであれば、間違いなく効果はあると思います。
聞き手:EDGE株式会社 代表取締役チーフエヴァンジェリスト 佐原 資寛
当初、せっかく頑張って昇格した将来有望な若い管理職が辞めていくことを大木社長がとても残念そうに語っていたのを鮮明に覚えています。私も多くの経営者にお会いしますが、本当に社員を大切に思っていらっしゃるんだということが深く印象に残りました。いざ中に入ってみると社長の思いがメッセージや制度として正しく伝わっていない、店舗や管理職によって捉え方や考え方がバラバラであることが根本課題だとわかり、一つずつ着実に変化を生み出していきました。大木社長はじめ、川合アドバイザーや社員の皆さんも根気強く、粘り強く変革を推し進めてくださり、週休3日での社員採用の仕組みなど、新しい仕組みや取り組みも続々と生まれています。これからも社員の活躍を第一に考え、さらに良い組織に進化されていくと確信しています。
<株式会社大木家の詳細はこちらをご覧ください>
https://ogi-ya.co.jp/index.html
大木家様にご活用いただいたのは、人事・組織開発コンサルティングの【PLAN B 人事・組織課題解決コンサルティングプラン】です。